一、問題の概要
運転中にフライホイールからオイルが飛散する現象は、異常な潤滑油の消費を引き起こし、設備の性能低下や機械の正常な動作に影響を及ぼす可能性があります。そのため、この問題の主な原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。以下に、一般的な問題の詳細な分析と対応策を示します。

二、問題の分析と対策

1.燃焼ガスがクランクケースに流入(クランクケース内の背圧が過大)
(1)問題の原因：
燃焼ガスがクランクケース内に流入すると、内部圧力が上昇し、フライホイール周辺から潤滑油が漏れ出す可能性があります。この問題は、シリンダーライナー、ピストン、またはピストンリングの摩耗によるシール不良が原因で発生することがあります。

(2)対処方法：
1.関連部品の点検: シリンダーライナー、ピストン、ピストンリングの状態を確認し、過度の摩耗や固着がないか検査する。
2.故障部品の交換: シール部品の劣化やピストンリング、ラビリンスオイルシールリングの摩耗が確認された場合は、早急に交換して密閉性を回復する。
3.YANMARの技術サポートへ連絡: 問題を自己解決できない場合は、専門技術者に相談し、追加の点検や修理を依頼する。

2.クランクケース通気管の詰まりまたは過度な曲がり
(1)問題の原因：
クランクケース内のガスは適切に排出される必要があります。通気管が詰まっていたり、曲がりが多すぎたりすると、ガスがうまく排出されず、内部圧力が上昇し、潤滑油の漏れにつながります。

(2)対処方法：
1.通気管の清掃: 定期的に通気管を点検し、異物が詰まっていないか確認し、汚れやスラッジがあれば除去する。
2.通気管設計の改善: 曲がりが多すぎる場合は、適切な口径のパイプに交換し、ガスのスムーズな排出を確保する。
3.YANMARの技術サポートへ連絡: 問題が解決しない場合は、専門技術者にシステム調整や改修を依頼する。

3.潤滑油の入れすぎ
(1)問題の原因：
潤滑油を過剰に追加すると、運転中の圧力変化により、シール部や通気孔から油が漏れ出すことがあります。また、内部の運転抵抗が増加し、機械の効率に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)対処方法：
1.潤滑油の適量調整: 設備の標準推奨値に従って適切な量を追加する。
2.オイルレベルの確認: オイルレベルゲージを参考にして、適切な範囲を超えないようにする。
3.定期的な点検と監視: 運転中に潤滑油の状態を定期的に確認し、過剰添加を防ぐ。

4. 摩耗したフライホイール・ラビリンスオイルシールリングまたは詰まったオイルリターン通路
(1)問題の原因：
1.ラビリンスオイルシールリングが摩耗すると、シールリングと主軸ジャーナルの隙間が広がり、オイル漏れが発生する。
2.オイルリターン通路が詰まると、潤滑油がクランクケースに戻れず、フライホイールから飛び散る原因となる。この問題は、重油を使用するエンジンや長期間稼働していないエンジンで特に発生しやすい。

(2)対処方法：
1.フライホイール・ラビリンスオイルシールリングの交換： 交換前にクランクシャフトのたわみを測定し、過度な偏差がないか確認する。オイルシールリングを交換する際は、シールリングと主軸ジャーナルの隙間を適切に調整すること（メーカーの整備マニュアルの仕様を参照）。
2.オイルリターン通路の清掃： 詰まりが確認された場合は、通路を清掃し、潤滑油の正常な流れを回復させる。

三、結論と提言
フライホイールからのオイル飛散は、内部圧力、ラビリンスオイルシールリングの摩耗、潤滑油量の過不足に関連しています。適切な点検とメンテナンスを行うことで、この問題の発生を効果的に抑えることができます。問題が一般的な修理範囲を超える場合は、技術サポートに相談し、最適な運転状態を維持することを推奨します。