22025年7月、台湾・高雄にて、成高SEIKOHは企業にとって特別な節目を迎えました。数ヶ月に及ぶ準備と建設期間を経て、新しいオフィスと工場が正式に完成し、稼働を開始しました。おなじみの臨港工業地帯に位置するこの新建築は、単なる事業拡張ではなく、30年以上にわたる専門技術の蓄積と進化を象徴しています。
開幕式は簡潔ながらも厳かな形式で執り行われ、日本と台湾から業界パートナー、取引先、学界の代表者が一堂に会し、SEIKOHが新たな姿で未来に向かう瞬間を見届けました。テープカットから達磨の開眼祈願に至るまで、すべての演出に企業の技術力と着実な前進への意志が込められていました。
今回の新工場・オフィスは、単なる機能性を追求した空間ではなく、「企業精神を空間化する」ことを出発点として設計されました。全体のデザインは現代的な語彙を採用し、素材、色彩、光と影の重なりを通じて、落ち着きの中にも奥行きある空間を演出。建物に足を踏み入れた瞬間、理性と秩序が織りなすリズムが自然と感じられ、長年にわたる技術的蓄積を印象づけるとともに、「安心して任せられる」という信頼感が生まれます。
公共空間と展示エリアには適度な余白が設けられ、視界の抜けや動線の導線が明確に。オフィス空間はオープンさとプライバシーのバランスがとられ、チームの協働と集中の両立が可能に。全体の動線は滑らかで、空気と光が自由に流れる設計は、企業の日々のリズムと同じく、安定し力強い印象を与えます。
特に注目すべきは、素材とミニマルな色彩を純粋に重ねることで理性的かつ層のある空間言語を構築し、「現代的スタイル」を体現している点です。公共エリア、オフィス、展示空間のいずれも、シンプルで整然とした雰囲気に仕上がっています。
サインシステムもまた、ブランドアイデンティティと空間コンセプトを延長させたもので、「水の流動性」に着想を得て、水の流れのように前へ導くビジュアル言語を展開。フロア案内やエリア誘導は、カスタムアイコンと線的デザインを活用し、空間の動きとブランド理念を密接に結びつけ、SEIKOHが航路の「動力」と「守り手」の役割を果たしていることを象徴しています。使用者の動線効率や体験価値も高められています。
開幕式当日は、ヤンマーパワーテクノロジー(日本本社)、華偉漁業、台湾国際造船、ABS、台湾中油、高雄科技大学などのパートナーが来賓として出席しました。テープカットでは、董事長の呉成德氏が多くの来賓と共にレッドカーペットに立ち、SEIKOHの新たなスタートを公式に宣言しました。
また、達磨の開眼式では、日本のパートナー・廣瀬部長より贈られた達磨に、董事長が左目に願いを込めて筆を入れ、総経理が右目を描き完成させることで、目標達成への決意を表しました。達磨の「倒れない」象徴は、SEIKOHの技術精神とも重なり、伝統的でありながら未来への希望を託したセレモニーとなりました。
この開幕式は、単なる施設のオープンではなく、企業精神と文化の具体的な表現でもあります。SEIKOHは華やかな言葉ではなく、デザインの言語、空間の細部、儀式のリズムによって、彼らの一貫したスタイル──「プロフェッショナル」「安定性」「信頼性」──を語りました。
30年に及ぶ産業の歩みは、すでに数えきれない海上の旅やパートナーシップの中に根付き、この新工場は今後、日々の業務の拠点であると同時に、さらなる連携、新たな挑戦、そして遠い航路への出発点ともなります。ここでは、空間は単なる容れ物ではなく、企業文化と価値観の具体的な延長なのです。SEIKOHは技術を礎に、空間を証として、海洋産業に対してこれからも安定した信頼の力を提供し続けます。